前回の記事では、一定間隔で網を張る「グリッドトレード」の基本的な仕組みについてお話ししました。
「仕組みはわかったけれど、もし大暴落が来たらどうするの?」「ずっと同じ設定で放置して大丈夫なの?」という疑問を持たれる方も多いはずです。
今回は、このシステムを長期間・安全に運用するために欠かせない「現物ならではの資金管理」と、相場の変化に合わせて網を動かす「追従型ロジック」について解説します。
なぜ「ロスカット(損切り)」をしないのか?
一般的なトレードでは「損失が膨らむ前に損切りせよ」と言われますが、私のシステムではあえてロスカットを設定していません。これには現物取引ならではの明確な理由があります。
含み損は「利益の源泉」
グリッドトレードにおいて、株価が下がって含み損が増えることは、「将来の利益の種を安く仕込んでいる状態」を意味します。ここで損切りしてしまうと、その後の反発で得られるはずの利益をすべて捨ててしまうことになります。
「収益分配金」という強力な味方
現物資産を保有し続ける大きなメリットが、定期的に支払われる「収益分配金(配当)」です。 たとえ株価が低迷して「待ち」の時間が長くなったとしても、保有しているだけで分配金が入ってくるため、ただ耐えるだけでなく着実にキャッシュを生み出し続けてくれます。
指数連動型(1329)の信頼性
日経平均ETFは日本の主要企業225社の集合体です。「日本経済が消滅しない限り、価値がゼロになることはない」という前提があるからこそ、分配金を受け取りながら回復をじっくり待つ戦略が成立します。
暴落に耐えるための「資金管理」
現物取引には、FXや信用取引のような「証拠金不足による強制決済」がありません。そのため、資金管理で最も重要なのは「生活に影響のない余剰資金の範囲内で、計画的に買うこと」に尽きます。
- 買い下がる体力を残す: 一度に全額を投入するのではなく、株価が下がったときにも淡々と買い増しを続けられるよう、資金を分割して網(トラップ)を配置しています。
- 現物ならではの安心感: レバレッジをかけないため、どんなに暴落しても「株が手元に残る」だけです。精神的に追い詰められることなく、相場が戻るまで腰を据えて運用を継続できます。
相場の変化に食らいつく「追従型」ロジック
株価はずっと同じ価格帯(レンジ)に留まってはくれません。大きく上昇して網(グリッド)の上限を抜けてしまったり、逆に下がり続けて網の下限を割ってしまうこともあります。
そこで活躍するのが、Pythonで組んだ「追従型(トラッキング)」の仕組みです。
自動で「網」を張り直す
もし株価が設定したレンジを外れそうになったら、システムが現在の株価をリアルタイムで検知し、自動で基準値を計算し直して「網」を新しい価格帯へ移動させます。
- 機会損失を防ぐ: 上がりすぎた時に「高くて手が出せない」状態にならず、新しい高値圏で再び利益を狙い始めます。
- 手動の手間をゼロに: 相場が変わるたびに人間が設定をいじる必要はありません。プログラムが24時間、相場の変化を追いかけ続けます。
ここまでの連載で、私のシステムの「ロジック(中身)」について一通りお話ししてきました。
- 「現物資産」という安全な土俵を選ぶ
- 「グリッドトレード」で波を捉えてコツコツ稼ぐ
- 「資金管理」と「追従型」で守りと効率を両立させる
次回は、このロジックで運用した場合の「必要な資金」と「最大の含み損」の簡単な計算方法についてまとめます。