前回は、自動売買システムの検証環境として「三菱UFJeスマート証券(kabuステーションAPI)」を選定した技術的な理由について記録しました。 今回は、実際にこのkabuステーションをミニPCにインストールし、自動売買プログラムと連携させるための初期設定と、専用機ならではの軽量化手順について解説します。
事前準備:「kabuステーションAPI」の利用申請
ソフトをインストールする前に、まずは証券会社のWEBサイト(マイページ)から、API機能自体の利用申請を行う必要があります。
証券口座にログイン後、設定・申込の画面から「kabuステーションAPI」の利用規約に同意し、申し込み手続きを完了させておきます。このWEB上での申請を済ませておかないと、後述するソフト側でのAPI設定が有効にならないため、一番最初にクリアしておきます。
プログラムと連携するための「API設定」
利用申請が終わったら、公式サイトからkabuステーションをダウンロードし、ミニPCへインストールします。
初回起動時は、画面上に株価ボードや複数のチャートがリアルタイムで表示されるリッチな画面が立ち上がります。 この画面の上部にある「</>」というアイコンをクリックすると、APIの設定画面が開きます。ここで「APIを利用する」にチェックを入れ、プログラムから接続する際の「APIパスワード」をご自身で設定します。これで連携の基礎準備は完了です。
⚠ プログラムの暴走リスクと「セーフティ設定」
ここで、システム検証における非常に重要なリスク管理について触れておきます。 自作の自動売買プログラムは、予期せぬバグ(無限ループでの連続発注など)によって、意図せず全資金を使い果たしてしまうリスクが常に伴います。
kabuステーションAPIには、架空の資金で動作テストができる「検証(テスト)環境」が用意されているため、まずは必ずそちらで動作確認を行うことが必須となります。
その上で、本番環境へ移行する際の最後の命綱となるのが、先ほどのAPI設定画面内にある「発注金額の制限設定」です。 ここで「1回あたりの発注上限金額」を万単位で指定できるため、最初は「1万円」などの必要最低限の金額に制限をかけておきます。こうすることで、万が一プログラムが暴走して想定外の注文が出た場合でも、被害を最小限に抑えるセーフティネットとして機能します。
安定稼働のための「グレー画面化(究極の軽量化)」
セーフティ設定が終わったら、自動売買専用機ならではの「軽量化設定」に入ります。
初回起動時に表示されていた高機能なチャートや板情報、ニュースのウィンドウですが……すべて右上の「×」ボタンで閉じてしまいます。 背景だけの何もない「ただのグレーの画面」になれば設定完了です。
せっかくの多機能ツールを殺風景にしてしまうのはもったいないと感じるかもしれませんが、自動売買プログラムを裏で動かすにあたり、人間向けのグラフィック描画(GUI)はメモリとCPUの大きな負担になります。 限られたスペックのミニPCで長期間システムをフリーズさせずに安定稼働させるためには、この「描画の省略」が非常に有効な対策となります。 この「グレー画面」の状態でソフトを終了すれば、次回からもこの最軽量の状態で起動するようになります。
これで、kabuステーションのAPI利用申請から初期設定、そしてPCへの負荷を抑える軽量化設定が完了しました。自動売買の「器」となるハードウェアと証券ツールのベース準備が整った状態です。
次回は、この検証環境の中で実際にPythonプログラムを開発・実行するための土台、「Python(パイソン)」と「VS Code」の導入手順に入っていきます。