前回の記事では、一定間隔で網を張る「グリッドトレード」の基本的な仕組みと、下落トレンドにおいて含み損を抱える「最大の弱点」についてお話ししました。
「その弱点(暴落)が来た時はどうシステムを動かすのか?」「ずっと同じ設定で放置できるのか?」という疑問に対して、今回は私が検証システムに組み込んでいる「現物ならではの資金管理の考え方」と、相場の変化に合わせて網を動かす「追従型プログラム」について解説します。
なぜ「ロスカット(損切り)」を組み込まないのか?
一般的な裁量トレードでは「損失が膨らむ前に素早く損切りせよ」と言われますが、私のシステムでは現在、あえてロスカット処理をプログラムに組み込んでいません。これには、現物取引を前提とした以下の仮説に基づく検証理由があります。
含み損を「次の利益の種」と捉える検証
グリッドトレードにおいて、株価が下がり含み損が増えることは、システム上は「将来反発した際に利益となるポジションを仕込んでいる状態」となります。ここで損切り処理を入れてしまうと、その後の反発で得られるはずだった利益機会を失うため、ロスカットなしでどこまで耐えられるかの検証を行っています。
「収益分配金」による時間的猶予
現物ETFを保有し続ける副次的な要素として「収益分配金(配当)」があります。株価が低迷してシステムが「塩漬け(待ち)」の状態になったとしても、保有期間中の分配金によって、下落時の精神的・資金的な猶予を生み出せるかどうかも検証のポイントです。
⚠ ロスカットなし運用の「絶対条件」とリスク
現物取引には信用取引のような「証拠金不足による強制決済(追証)」がありませんが、だからといって安全というわけではありません。この手法を検証する上で最も重要なのは、「生活に一切影響のない余剰資金の範囲内で、計画的に注文を分散させること」です。
一度に全額を投入するのではなく、株価が大きく下がったときにもシステムが買い増しを続けられるよう、資金を極端に細かく分割して網(トラップ)を配置する必要があります。 また、「日本経済全体が長期的な衰退に向かい、ETFの価格が購入値を二度と上回らない」という事態になれば、このシステムは完全に破綻(一生塩漬け)します。
相場の変化に対応する「追従型」ロジックの構造
株価は常に同じ価格帯(レンジ)に留まってはくれません。大きく上昇して網(グリッド)の上限を抜けてしまったり、逆に下がり続けて網の下限を割ってしまうこともあります。
そこでシステムに組み込んだのが、Pythonによる「追従型(トラッキング)」の仕組みです。
自動で「網」を張り直すプログラム もし株価が設定したレンジを外れた場合、システムが現在の株価をリアルタイムで検知し、自動で基準値を計算し直して「網(注文の束)」を新しい価格帯へ移動させます。
- 上がりすぎた時に「高くて注文が出せない」状態を自動で解除し、新しい高値圏で再び網を張り直します。
- プログラムが相場の変化を追いかけるため、人間が手動で設定値を変更し直す手間を省くことができます。
ここまでの連載で、私が検証しているシステムの「ロジック(中身)」について一通りお話ししてきました。
- 「現物資産」という土俵でシステムを動かす
- 「グリッドトレード」の波を捉える特性を利用する
- 「資金管理」と「追従型プログラム」で長期間の動作をテストする
次回は、このシステムを稼働させるにあたり、事前に「必要な資金」と「抱える可能性のある最大の含み損」を算出するための、計算式とシミュレーション方法について記録します。
※免責事項 本記事で解説しているロジックや資金管理手法は、管理人の個人的なシステム検証の記録であり、その安全性や将来の利益を保証するものではありません。ロスカットを行わない運用は多大な元本割れリスクを伴います。最終的な投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。